こんにちは。

自由が丘のセレクトショップ・シンフーライフ
チーフバイヤーの青柳です。

前回は、「どうすれば世界を股にかける
バイヤーになれるのか（ファッション・アパレル系）」
について掘り下げて説明いたしました。
前回の記事はこちら

今回は、「バイヤーに求められるスキル」について
掘り下げていきたいと思います。

学生さん達の中で特に多いのが
「英語が出来なければ（海外で）バイヤーできませんか？」
という質問。

答えは「できます」

なぜなら、バイヤーに求められるスキルのもっとも重要なことが
「英語が話せること」ではないからです。

英語が話せるだけでバイヤーになれたら楽勝です。
アメリカ人、日本で全員バイヤーになれます。
会社は、以下のどちらの人間をバイヤーにしたいでしょうか？

１・英語が話せるけど売上を立てられない人
２・英語は話せない（または苦手）でもしっかり売上を立てられる人

売上を立てられるとは、「会社に利益をもたらすことが出来る」
ということです。
会社がどちらの人間を重宝するかは、明らかですよね。

利益をつくってくれれば、通訳をつけて海外に行くことも
会社は惜しみませんし
また、売上を作れるような有能な人間であれば
経験の課程の中で英語を身につける努力をしていくでしょう。
実際、世界を飛び回っているバイヤーや
展示会を出しているヨーロッパの人間はほぼ全員
英語が話せるので
会話ができない自分をふがいないと思うに違いないからです。

では、売上を立てるために必要なこととは何でしょうか？
基本的には以下のポイントがバイヤーには必須であると考えます
しかしあくまで
自分の経験から導き出した者なので
会社さんによっては違うかも知れませんのでご了承下さい。

１・自分のお店の顧客の好みを把握できている
２・商品の利益計算および分析ができる
３・仕入れた商品をどう売ればよいかがわかっている
４・タフである

具体的に説明していきます。

１・自分のお店の顧客の好みを把握できている

あなたが勤務したい、または個人として始めたいショップは、どんな顧客層を
対象としているのでしょうか？
20代、30代、40代、50代、60代では、ファッションの好みも、使う金額も、流行も、
考え方もまったくそれぞれ異なります。
「自分は20代だけど、扱っているお店のテイストは40代」だった場合は、
自分のオシャレ感など捨てて、40代の女性（男性）の好みやトレンドを把握する必要があります。

自分に近いセンスでどうしてもバイイングしたい場合は、自分がすきなブランドの
会社に入社するのが一番の近道だと思います。

２・商品の利益計算および分析ができる

お金があれば商品を買うことが出来ます。
しかし、買った商品がうれなければ、そこまでです。
売れない→安易に値下げする→赤字→倒産する

このようなルーティンを繰り返し会社を閉める
アパレル企業をいくつも見てきました。

売るときにいくらで売れば利益が取れるのか？
値下げをする場合は、いつもよりいくら多くうらなくては
いけないのか？
仕入れた商品が、どれくらいのサイクルでうれてるのか？

など、しっかり利益を出すためには、数字管理ができなければ
意味がありません。
バイヤーになりたいです。でも数字には弱いんです。テヘ。
というような人は、まず数字を好きになることから始めましょう。

３・仕入れた商品をどう売ればよいかがわかっている

商品をしいれたは良いが、商品をぽんとお店に置いただけでは、
お客様は買ってくれません。
「かわいいから」「安いから」それだけの理由で買ってくるなら
会社は数百万円のお金をあなたに託したくはありません。

日本に持ち帰ったときに、「こういうコンセプトで売ろう」という
しっかりした計画を考えなければなりません。
マーケティングの知識もしっかり勉強していく必要があります。

４・タフである（体力がある）

身体が丈夫ということは、バイヤーになるためにはある意味一番重要です。
展示会のある日にちは決まっています。
そのときに「体調をくずして行けなくなりました…」
なんてことになったら大変です。
会社が貴方の為に用意した、往復の航空券代、宿泊代、すべてがパーになり
会社に損害を与えることになります。

海外出張できる人は、体調管理がしっかりできることが大前提です。
海外の展示場は日本と比べものにならないくらい大きいので
沢山歩かなくてはならないし、展示会の報告もまとめる必要があるので
ホテルに戻った後もPCとにらめっこです。

時差や環境が変わると体調崩れるんですよね…
枕が変わると眠れなくって…
という人は、バイヤーになるセンス自体が不足しているトスカーナ
いってよいでしょう。
体力の問題は、バイヤーに限らず
国内でばりばり働く、ビジネスマンやキャリアウーマンにも
必須な要素です。

如何でしたでしょうか？

以上、ファッションアパレル系のバイヤーになるために
必要な要素やポイントを
3回に渡り綴らせていただきました。
参考にしていただければ幸いです。

ひとつ注意して頂きたいと思うのは
「そうか、能力さえあれば英語ができなくてもバイヤーできるんだな！」と
安易に思わないことです。
例えば、スキル的に全く同じ能力値の
人間が社内に2人いるとして
どちらかが英語が話せるのであれば
通訳を付けるより、付けない方が
1日数万のコストが浮くので
話せる方の人間に仕事は奪われることになるでしょう。

Yukako Aoyagi｜青柳 有香子

セレクトショップ・シンフーライフ 店長/ウェブマーケティング/バイヤー
10年以上のバイイングとECサイト販売の経験から得た商品選びのポイントや業界裏情報、自分が働いている中で衝撃を受けたファッションの話題を提供しています。