こんにちは。
シンフーライフ店長&バイヤーの青柳です。
日本で人気のある秋冬のストールブランドの上位に
「Johnstons(ジョンストンズ)」
「Joshua Ellis (ジョシュアエリス)」
がございます。
おしゃれにわんぱくな女性の間では
どちらもカシミヤ100%と美しい色柄が自慢の
高級ストールという認識なのではないでしょうか。
最初に日本に上陸したのは
「ジョンストンズ」の方です。
高感度なタータンチェックと
極上のカシミヤのマリアージュ。
瞬く間にファッショニスタの間で
人気が高まり、大ブームを巻き起こしました。
結果、人気すぎて
並行輸入で安く変えるようになり
日本市場での価値がしりすぼみの傾向に。
いち早くジョンストンズのストールを購入した
顧客たちが離れていきました。
それから数年後、ジョシュアエリスが日本に上陸。
英国テキスタイル史の中で最も古い歴史をもつブランドという
ストーリーと、伝統的な技術×極上の肌ざわり。
ジョンストンズに代わる新しいストールブランドと
いうスタンスで
こちらも瞬く間に人気を獲得しました。
しかし。
ぶっちゃけのこの2つのブランドの何が違うの?
どっちもチェックの柄が違うだけで
カシミヤ100の大きなストールで
質がいいのはかわらないし、値段も同じくらいじゃない。
と感じる方もいらっしゃるのでは。
そんな2つのブランドの違いについて
先日買付の際に、輸入メーカーの方から興味深いお話を
伺ったので、共有させて頂きます。
「ジョシュアエリス」や「ジョンストンズ」の
ブランド名は知っていても
なかなかここまで知ってる人は少ないのではと
思いました。
これを読んでいただければ貴方も「ツウ」で
ございます。
そもそもチェックとひとくくりに
何も知らない私達は言ってしまいますが、
この「チェック」に双方かなりの違いが
あるんです。
ジョシュアエリスの代名詞である
大ぶりのプライマリーチェック柄。
一方のジョンストンズは、スチュワートチェックの
柄が代表的ですよね。
「プライマリーチェック」は
ジョシュアエリスでしか作れない
というか生み出せない柄だそうなのです。
ジョンストンズでは作れません。
逆に、ジョシュアエリスはジョンストンズの代名詞の
スチュワート柄を作ることができます。
店頭に販売がないだけで、
シェアは少ないですが作ってはいます。
なぜ、ジョシュアエリスのプライマリーチェック柄が
ジョシュアエリスだけでしか
作れないかの理由についてですが
そのポイントは、ストールを織る糸にあります。
一般的に、ヨコ糸のみ縮絨(しゅくじゅう)
させているのに対し、
ジョシュアはタテ糸も縮絨させています。
※縮絨(しゅくじゅう)というのはかんたんに説明すると
糸をふんわりとさせるための作業です。
糸の時点から、手間暇がかかってるわけですね。
タテ糸をふんわりさせることによりチェックの線の色が
美しく発色し大ぶりな柄を綺麗に
仕上げることが可能だそうです。
ジョシュアエリスを作ってるメーカーは
もとはといえば
イギリス最古の
テキスタイルメーカー。
いわゆる「生地屋さん」なのでそれが
実現できるそうです。
セリーヌやトムブラウンなどの
ハイブランドのコート用に生地を卸したり
しているそうです。
もう1つの特徴は、ストールの「ふわふわ感」です。
以前書いた記事でもお伝えしたように
ジョシュアエリスのストールは、天然植物の
「アザミの実」で、職人が人間の手で
優しく引っ掻いて起毛させています。
これまた手間のかかる作業(滝汗)
これにより圧倒的にしなやかな肌さわりが
実現するのです。
普通ここまで起毛させると
タテ糸が隠れて柄がぼんやりとしてしまうのですが
ジョシュアエリスはどちらの糸も縮絨させているため、
アザミでひっかいても美しくはっきりした柄を
保つことができるのだそうです。
ジョシュアエリスの最大の特徴である
プライマリーチェックはこうして
生み出されているのですね。
こういった知識を知ってると知ってないでは
購入するときに何を基準で買うか
また、購入後の使い方などの意識も
随分変わりますよね。
シンフーライフでは、ジョシュアエリスの
大判カシミヤストールを
毎シーズン、仕入れております。
そして、すこし残念な、というか
しょうがないというか、お知らせがございます。
ジョシュアエリスは、2022年の秋冬シーズンから、
税抜で5000円(大判サイズ)ほど、値上がりいたします。
その他のサイズも、数千円単位での値上がりになります。
理由は2つありまして
まずは世界的な物価の上昇です。
シンフーライフではイタリアを始めとした
ヨーロッパの各国から仕入れを行っておりますが
イギリスのみならず世界的に
海外のインフレによる物価上昇
SDG政策による光熱費高騰
石油高騰、運送費高騰(2年前の4倍)
コロナ禍の人不足による工賃高騰等々
などが理由となり、仕入れ価格もそれに伴い
上昇しております。
▼参考記事
「シャネル」と「ルイ・ヴィトン」が米国でバッグを次々に値上げ 66%高騰のモデルも
もう1つの理由として
イギリスが、EUを脱退したことにより資材を仕入れる際に
いままでかからなかった関税がかかることになりました。
結果、それらが商品に反映されることになった次第です。
と、ここまでの情報は
2022年2月時点でのものです。
この後、ロシアのウクライナ侵攻が始まり
2022年8月時点、
さらに物価が上昇している状況を加味しますと
その次の2023年の秋冬シーズンは状況により
さらなる値上がりが予想されます。
お気に入りの
色柄がございましたら
早めにご購入されておいたほうがお得かと思われます!
セレクトショップ・シンフーライフ 店長/ウェブマーケティング/バイヤー
10年以上のバイイングとECサイト販売の経験から得た商品選びのポイントや業界裏情報、自分が働いている中で衝撃を受けたファッションの話題を提供しています。